屋島本店とともにこの別館のデザインも担当した長尾勝彦さんは、これまで多くの商業施設を手掛けてきた経験をもとに、利用者のニーズに対応しつつ照明や空調などの省エネルギー、エコロジー、コスト対策についても十分考慮した上で設計計画を立てました。
「照明計画においては、具体的には利用者の年齢層を考えて全体照明の明るさを高めに設定しています。メニュー等が見えやすいこともありますが、四季折々の自然素材を中心とした体に優しく、見て楽しめるお料理ですから、暗い場所でいただくのはもったいないですしね」と、長尾さん。
また、同じ空間で少人数から〜100名様が利用可能となるよう、部屋構成の自由度を高めているのが特徴で、唯一オーナーが希望した部分だと言います。他の部分のデザインについてはほぼおまかせだったそうですが、室内から見て四季を楽しめる庭の取り込み方、柔らかい光の変化をつけ繊細で日本的な美意識の表現、庭にアクセントをつけ、内部空間へと誘う地元庵治石の掬月石など、飾らない“おもてなしの気持ち”が伝わってきます。
高級感がありすぎても、逆にカジュアルすぎても落ち着いて過ごせません。長尾さんがオーナーの気持ちをそのままデザインした空間は、美味しいお料理とともに多くの人の心を和ませているようです。